「SESはやめとけ」と見かけても、SES企業への応募を一律に取りやめる必要はありません。ただし、研修後の仕事、給与の評価基準、配属後の相談先が曖昧な会社には慎重になりたいところです。判断の中心は、希望する経験を積めるか、そのための支援と労働条件が具体的かどうか。

この記事では、会社に雇用されて働くSESを中心に、評判の背景と応募先の見方を説明します。すでに働いていて辞めたい人は、今の現場への不満なのか、会社の待遇なのか、働き方そのものが合わないのかを分けて考えてみてください。

この記事のポイント
  • SESはやめとけと言われる背景と契約の区別
  • 仕事内容・給与評価・待機・相談体制の見方
  • 未経験者の研修と配属を見極める質問
  • 配属変更と転職を比較する判断基準

「sesやめとけ」と言われる理由と、知っておきたい実態

所属する会社と働く現場が分かれ、役割が見えにくい

所属する会社と働く現場が分かれ、役割が見えにくい

SESは、会社に所属するエンジニアが顧客企業などのチームに参加し、システムの開発・保守・運用に関わる事業の形です。RJCは、雇用主・給与・評価・研修を担う会社と、実際に働くチームが分かれる仕組みとして説明しています。顧客先で働く、いわゆる客先常駐が不安の出発点になることがあります。

現場が変わるたびに、業務やチームへの適応も必要になります。CIN GROUPの採用コラムでも、配属後にキャリアの方向が見えにくくなる点を挙げています。応募時には勤務地だけでなく、配属先での役割と、所属会社が成長をどう支えるかまで見たいところです。

契約については、派遣と請負・準委任を区別します。派遣は、雇用する会社とは別の派遣先が仕事の指揮命令を行う仕組みです。一方、請負や準委任では、発注者と受注側の労働者との間に指揮命令関係が生じない点が区別されます。厚生労働省は、契約の名称ではなく実態で判断するとしています。厚生労働省の疑義応答集

システム開発で顧客側と情報共有や技術的な助言を交わすこと自体が、直ちに偽装請負になるわけではありません。対等な協働と、自律的に業務を進める実態があるかが重要です。会社には、契約形態に加えて、仕事の進め方や労働時間を誰が指示・管理するのか説明してもらいましょう。

希望と違う仕事が続くと、身につく経験が偏る

「SESではスキルが身につかない」という不安は、何を担当できるかと、その後に仕事を変えられるかに分けて考えます。CIN GROUPは、同じ現場・同じ技術に長くとどまることで、経験が偏るリスクを挙げています。SESという名称だけで、経験の幅や成長の方向まで保証されるわけではありません。

開発を希望するなら、「ITの仕事に就けるか」から一歩進めて、使う言語と、設計・実装・テストのどの仕事に関われるかを聞いてみてください。最初の担当だけでなく、その次に希望する仕事へ進むための育成や配属相談があるかも大切です。「案件多数」という言葉と、自分が参加できる案件は分けて見ます。

私自身、最初の仕事はネットワークやサーバーの構築・設定が中心で、約6年取り組みました。開発の仕事ではありませんでしたが、本社の研究部門のネットワークに長く携わったことは勉強になっています。仕事の名前だけでなく、何を扱い、どこまで任されるかにも目を向けたいです。

希望と異なる仕事が続いている場合は、配属変更を相談できるかが分かれ目です。ESESも、希望と違う案件が続き、スキルアップにつながらず異動の見込みもない状況を、転職を検討する材料に挙げています。勤続年数だけで判断せず、現在の経験と次に積みたい経験のつながりを見てください。

給与評価が不透明だと、成長と収入の関係が分からない

給与評価が不透明だと、成長と収入の関係が分からない

給料への不安で見るべきなのは、入社時の月給に加えて、何が昇給につながるかです。CIN GROUPは、スキルが上がっても給与への反映が遅れるケースや、社員が評価の仕組みを把握できていない問題を挙げています。「頑張れば上がる」という説明だけでは、次の目標を決められません。

評価の具体性を見る一例が、RJCの公開する査定制度です。プログラム、詳細設計、基本設計などの基礎能力とランクを対応させています。この制度が自分に合うかは別として、比較したいのはこうした評価項目。案件での実績を誰が把握し、どの能力や役割を満たすと給与が変わるのかを聞きましょう。

もう一つが待機中の扱いです。案件を離れ、次の案件が決まるまで待機期間になることがあります。シー・エス・エスグループは、自社の待機中は給与を全額支給し、他案件のサポートやスキルアップ学習を行うと公表しています。応募先でも、待機時の業務と賃金を具体的に聞く必要があります。

会社都合で労働者を休業させる場合、厚生労働省は、休業させた所定労働日について平均賃金の6割以上の休業手当が必要と説明しています。これは月給の6割という意味ではありません。待機中に研修や別案件の補助を行う場合と、会社都合の休業とを一括りにせず、実際の指示と支給条件を確かめてください。

参考リンク(外部サイト)厚生労働省の賃金・休業手当の案内mhlw.go.jp

自社のフォローが弱いと、悩みを相談しにくい

客先常駐では、所属会社の同僚と顔を合わせる機会が少なく、自社の一員だと感じにくい人もいます。CIN GROUPは、社内の交流や勉強会などのフォローによって、この問題への対応が変わると説明しています。自分にとって、日常的に誰と話せる環境が必要かも考えたいところです。

相談体制は「営業がつきます」だけで終わらせず、相談先と内容を確かめます。RJCが挙げるのは、現場のリーダーに加えて所属会社の上司などにも相談できること、定期的な面談で成長を振り返ること、配属後も研修や学習支援を使えることです。配属先に任せきりにしない仕組みがあるかが要点になります。

面接では、仕事についていけないとき、現場を変えたいとき、評価に疑問があるとき、それぞれ誰が対応するのか聞いてみてください。担当者が希望や悩みを聞き、配属や評価の相談にどう関わるかまで説明できるか。社内イベントの有無と併せて、実務上の困りごとを扱う窓口も見ておきましょう。

「sesやめとけ」で終わらせない、入社・転職の判断基準

未経験なら、研修と最初の配属を一続きで見る

未経験者を正社員として採用し、研修を用意しているSES企業はあります。RJCもその一例です。未経験だからSESを避けるというより、学ぶ内容と配属後の仕事がつながっているかを見ます。入社できることと、希望する経験を積めることは、別々に確かめたい条件です。

研修は期間だけで比較せず、何を、誰が、どこまで教えるかを読みます。「プログラミング研修あり」から踏み込んで、使用言語、実習内容、設計やテストまで扱うかを確認する、という見方です。配属後に技術面で質問できる相手も併せて聞いておきましょう。

具体例として、RJCの研修案内は入社時研修を3〜4か月とし、Javaの基礎、データベース、Webアプリ開発、設計・実装・テストなどを段階的に示しています。この期間が業界共通の基準という意味ではありません。応募先でも、学習内容と到達点がこのくらい具体的に説明されるかを比べてみてください。

参考リンク(外部サイト)RJCの研修案内r-jc.jp

研修後については、未経験者の配属例、自社の先輩と一緒に働けるか、配属先をどう決めるかを質問します。シー・エス・エスグループの採用記事も、新人を一人で客先常駐させないかを確認項目に挙げています。「研修が終わったら一人で対応する」という不安を、入社前に具体的な体制へ置き換えておきたいです。

経験の幅を広げたいか、同じ製品やチームに関わりたいか

経験の幅を広げたいか、同じ製品やチームに関わりたいか

SESを選ぶ意味があるのは、現場の変化を経験の幅として捉えられ、研修・配属・成長支援の条件が自分に合う場合です。CIN GROUPも、新しい環境への適応や、幅広い経験を積みたい気持ちを向き不向きの観点に挙げています。ただし、複数の現場を経験できるかは、応募先の配属の仕組みとセットで判断します。

重視すること比較する方向応募先に聞きたいこと
複数の業界や技術に関わりたいSES企業の案件と配属制度希望する領域の案件があり、変更を相談できるか
自社の製品・サービスに関わりたい自社開発企業自社で何を開発し、自分はどの業務を担当するか
顧客から受けた開発を一通り経験したい受託開発を行うSIerや、SI事業もある会社設計から納品まで、どの工程に参加できるか
同じメンバーとの関係を重視したい各社の実際のチーム・配属体制自社の誰と働き、配属やチームがどう変わるか

SIerは、顧客のシステム開発を引き受ける事業を主に行う会社の呼び方です。SES事業とSI事業の両方を行う会社もあるため、会社の分類だけでは配属後の仕事は決まりません。「SIerなら必ず希望する工程を担当できる」と考えず、自分に提示される仕事内容を比べてください。

私の場合、以前は大きな会社のグループ内で仕事を回すIT会社にいて、大きな仕事にも関わらせてもらいました。一方で、個人的には歯車の一つになったように感じ、面白さはあまり感じていませんでした。仕事の規模と、自分が面白いと思える仕事かどうか。その両方を見ておきたいと思います。

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面接では制度の名前より、条件と実際の運用を聞く

求人票で候補を絞ったら、面接では説明の具体性を見ます。「案件多数」「研修充実」という表現だけでは、配属の決め方や研修内容は分かりません。次の質問を使い、自分が入社した場合の条件まで話を進めてみてください。

確認項目面接での質問例
研修と配属研修では何を学び、未経験者は最初にどんな業務を担当していますか
希望の反映配属は誰が決め、希望と異なる場合はどう相談できますか
給与と評価基本給と固定残業代の内訳、昇給の評価項目を教えてください
待機次の案件までの業務と、賃金の支給条件はどうなっていますか
勤務条件就業時間・休日・勤務地は、配属先によってどう変わりますか
配属後の支援技術の質問や現場変更の相談は誰が受け、面談はどう行いますか

給与欄に固定残業代がある場合は、残業の有無にかかわらず一定の時間外手当を含む仕組みなので、総額だけで比べないようにします。厚生労働省の案内では、固定残業代を除く基本給、対象時間数と金額、対象時間を超える分の割増賃金を追加支給する旨を示す必要があります。

また、2024年4月から、募集時に明示する労働条件には業務と就業場所の変更の範囲も追加されています。入社直後の条件と、将来変わり得る範囲を分けて読みましょう。選考中に条件が変わる場合は変更内容の明示が必要で、労働契約を結ぶ際にも労働条件通知書などでの明示が必要です。厚生労働省の求職者向け案内

実際にない経験を経歴書へ加えるよう求められたら、その応募先は見送る判断を。シー・エス・エスグループの採用記事も、経歴の水増しを提案する企業に注意を促しています。希望条件の交渉と、経験を偽ることは区別してください。

辞めたいときは、配属変更で解決するかと転職先の条件を比べる

辞めたいときは、配属変更で解決するかと転職先の条件を比べる

すでにSESで働いているなら、「何を変えたいか」を先に言葉にします。今の現場の仕事内容や人間関係が問題なのか、所属会社の給与・評価・支援が問題なのか。あるいは、現場が変わる働き方そのものが合わないのか。ESESも、辞めたい理由を分けて考えることを勧めています。

相談できる状態なら、所属会社に次の案件への希望や、目指す仕事を伝える方法があります。次の配属で改善する見込みが具体的にある場合は、現職を続ける選択肢も残ります。一方、希望と違う仕事が続き、異動の見込みもないなら、別の会社を比較する理由になります。相談すれば必ず解決する、とは考えないでください。

転職先もSESに限って排除する必要はありません。評価や配属への不満なら、制度の異なるSES企業が比較対象になります。自社の製品に関わりたいなら自社開発、顧客の開発を引き受ける仕事をしたいならSIerなど、変えたい点に合わせて候補を広げます。

現在の経験やスキルと、次の仕事で求められることを照らすのが先です。

私も一度、IT会社から地方の小さな会社へ転職しています。やりたい仕事があった一方、年収が下がる転職はかなりきついと感じました。やりたいことがあったから続けられた面があります。次の仕事の面白さと収入条件は、どちらも見ておいてほしいです。

賃金の引下げや配置転換、ハラスメントなどの労働問題は、会社の外にも相談先があります。厚生労働省の総合労働相談コーナーは、専門の相談員が面談または電話で対応し、相談は無料・予約不要です。法令違反の疑いがある場合には、権限を持つ担当部署へ取り次ぐと案内されています。

社内への相談だけで抱え込む必要はありません。総合労働相談コーナーの案内

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「sesやめとけ」と言われたときの判断まとめ

この記事のまとめです。

  • SESを一律に避けず、希望する経験と会社の具体的な条件で判断する
  • 派遣と請負・準委任の区分は、契約の名称だけでなく指揮命令などの実態で判断される
  • 使用技術と担当工程、その次の仕事へ進むための配属相談を確かめる
  • 給与は月給の総額だけでなく、評価項目と昇給への反映を見る
  • 待機中の業務・賃金と会社都合の休業を区別し、支給条件を確認する
  • 配属後も所属会社に相談でき、成長を振り返る仕組みがあるかを見る
  • 未経験者は研修の期間・内容・教える人と、最初の配属体制を一続きで比べる
  • 自社開発やSIerも候補に含め、会社の分類より実際の担当業務で比較する
  • 面接では制度の運用を質問し、契約時には労働条件の明示内容を確かめる
  • 辞めたい理由を分け、配属変更の見込みと転職先の仕事内容・収入条件を比べる
  • 賃金や配置転換、ハラスメントなどは総合労働相談コーナーにも相談できる
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